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かわみなみ の日々の雑感群
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  A・ルーミスの著作がPDFで配布されていますが 2013年05月20日(月)16:00 雑記感想本/(漫画)お絵かき
人物デッサンの基礎など、絵画やイラストの基本が書かれた美術書で有名なのは、アンドリュー・ルーミスの著作のもの。
私自身もそうですが、沢山の漫画家さんはこれら数冊の著作で絵の基礎を学びました。
うちに来たアシスタントの方にはずっとこの本を薦めてきました。
未だに手元に持っています。ネットの書店でも買えます。
一方、今、先生の著書がPDFファイルでネットで配布されています。

2004年頃から出回り始めたファイルらしく、ルーミス先生の遺族の方が著作権を放棄したらしく出版社も遺族も何も取り締まったりしていない、とあちこちのブログなどの文章にありました。

確かに、ネット上に今もファイルはありますし、本をスキャンしてページごとの画像をそのままPDFファイルにしてますから一部斜めにずれて画像化されたりしています。なんというか、PDFファイルの作りが素人風なのです。
前ページ画像で英語なので、テキストを抽出して翻訳機にかけるのは一手間も二手間もかかりますが、英語圏の人は読み放題ってことですよね。

このファイルがどういう素性のものかは定かではないので、ファイルのありかはここには記しません。
ちなみに、今でもルーミスの著作はネットで買うこともできますし、アメリカで復刻版も出ているので、著作権放棄とは言えないのではと思います。

で、気になるのはその遺族の方の意向です。このファイルのことを取り上げているブログの1つを読んでいてムムッ?と思った文章がありました。
> 遺族の方は本に興味がないらしく、出版社も遺族もこのファイルを取り締まっていない
と書かれてあったのです。

実際はどうなのか、出来るだけ検索してみたんですが、詳細が判りませんでした。
しかし、このブログの文章が流言の伝聞にせよ、ブログ主の憶測にせよ、私は「この人、多分ルーミスの本、読んでないね」と思いました。

私もまた、憶測に過ぎないのですが、出版社と遺族が取り締まらないのはネットの海においては取り締まりが膨大な作業&費用がかかるため、単に手が回っていないだけかもしれない。その他にも、理由があって現状のままなだけかもしれない。
本に興味がないなんて、色々な可能性の中で最もお粗末な理由以外に沢山の理由と事情が考えられるんですよ。

おそらく自分の思考の形態に近い形で想像してブログに書いたのでしょうが、勝手に決めつけるなよって思いました。
人って自分がそうだから、そう思いがちでしょう? 自分の中に無いものは見えないんで、きちんと見ようと意識しないと、何も見えてこないのですから。

本当のところは分からない。だけど、ルーミスの本を読むと、ルーミス自身の、家族への愛情も感じられる部分が垣間見えるんです。
この人の家族が、ルーミスの著作物に興味がない、なんて考え方をするとは到底思えないんです。
ルーミスの本を読んだ方には分かって貰えると思います。

もしかすると、取り締まれないままになっている、そういう現状を受け入れているのは、次のような理由かもしれないと、あくまで想像ですが、思ってしまいました。
今ルーミスの本は前より売れていかないかもしれない。何しろ1950年代のファッションで描かれているので、21世紀になった今、時流的にそう参考にされない、今、売れる物ではないかもしれない。
では、残った家族としては、このPDFファイルがあることで、本の事が広まる、それで本と、ルーミスを長く愛してくれるのであれば、と考えるしかないのではと、私は想像しました。

私も未だに若い頃に買ったルーミスの本を持ち続けていて、時々眺めたりしているんです。
プロになった後で、自分が何も知らないんだと思い知って、絵の基礎を泥縄式に勉強したような私は、この本に出会って、本当に良かったと思います。
そしてルーミスの本を愛し続けている者は私の他に、世界中に沢山いるんです。

長くルーミスの著作と、ルーミスという絵描きさんを忘れないで欲しいと思う気持ちは彼の読者の間でも強いのです。
簡単に手に入るからって、何でも理由を適当に考えて、それで済ますなと、その点は怒りを覚えてしまいましたが。

そう、興味があれば、素性が判らないものに手を出すより、本を買いましょう。書籍だと美しい図があって、日本語で非常に理解しやすいです。内容の充実度は保証します。

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