絵日記タイトル画像
かわみなみ の日々の雑感群
homeimages log
  映画感想/「シャーロックホームズ」 2010年03月18日(木)17:45 雑記感想映画/(ドラマ)
いしいひさいち案
今回の記事は、久々更新で長文ですので、お暇な時に読まれる方がよろしいです。

甥の結婚式、父の三回忌と確定申告の時期が過ぎて、少しだけホッとしました。毎年、この時期が一番忙しいです。
ああ、返信しないといけないメールも溜まっているなあ。

息抜きもしたかったので水曜のレディスデーで近場のシネコンに行き「シャーロック・ホームズ」を観てきました。
監督のガイ・リッチーが久々にイキがいいのを撮ってくれるかと思ったけど……、そういう期待で観ると正直に言ってダメだったかな。
また、原作ファンの方も、どんな新しいホームズなんだろうと期待して観ると謎解きとかが手品の種明かしっぽくて、ミステリ作品としてみるなら、それだけかい? という食い足りなさもあります。
今回のホームズは大活劇なんです。アクション映画なんです。
ホームズのイメージは(私も含めて)まさに英国人のイメージで、昔NHKで放送されていたドラマの主演、故・ジェレミー・ブレットなんだ、……という方には、ロバートさんは何かバタ臭いホームズだなあという印象があります。

もしご覧になるなら、監督がどうとか、原作がどうとか、ドラマ主役がどうとかは忘れてアクション映画で気分転換という意識で行かれることをお勧めします。

聡明でありながら且つ少し病的な英国人の変わり者のイメージがあるホームズですが、ロバート・ダウニー・ジュニアがアメリカ人の変わり者、という感じ。流石にパワードスーツに身を包んで戦う鉄男っぽくはないんですが、この枯れ方はエゲレスのカビ臭さとはまた違うなあという印象です。

アクションシーンがカット割りが細かくて、何かチャカチャカしてる印象なのはガイ・リッチー監督の味だろうけど、今回の作品には効果的とは思えなかったですね。
どうやって相手をブチのめしているかはワザとテンポを落としてでも見せるという手法は、格闘シーンでは有効なんじゃないかと思えます。
ホームズはプロのやり方で行くので、一瞬で片を付ける為、あらかじめ「こうやってこうやってこうね」とホームズ自身に解説させたりしていますが、長丁場の格闘シーンになると結構散らかってるイメージでもありました。

悪役のブラックウッド卿は頭のいい悪党を通り越して妖怪じみています。誰かに似てるなと思ったら、ゲゲゲの鬼太郎の「ぬらりひょん」を思い出しましたもの。
そう言えばガイ・リッチー作品にはよく変な犬が出てきますが今回のブル君はカエルっぽい不思議なワンコでした。ここは期待を裏切らなかったな。

さて、今作品では意外にもワトソンが美男のジュード・ロウで、従来の木訥なイメージはありません。
まあ、今までの映像化作品がワトソンを、比較してホームズが引き立つように凡庸な描き方をしているのかもしれませんが、流石にジュードさんの方は本当に英国人なので、らしいなという皮肉屋っぽい英国人気質も観られて案外自然に受け入れられます。

今回、変人ホームズは常識人(ホームズと比較すれば、です)ワトソンとコンビ解消の危機にスネている甘ったれの困ったさんぽい解釈があって、それが腐女子心をくすぐるであろうとパンフで大槻ケンジも書いていましたが、その辺は私は最近枯れ気味というか、あまり気になりませんでした。
というか、他のイメージとかガイ・リッチー復活するかな? とか、余計な事が頭の隅にあったからかもしれません。
観る腐女子が拡大解釈で、そういう無理にでも萌える楽しみ方をするのもまた自由だとは思います。
ただ監督は「困ったちゃんを切るに切れないワトソン」を通して、格好良く言えば「絆」、普通に言えば「情」みたいな「腐れ縁」関係を面白いと思って描いているようです。そこは何となくは分かると思いました。

全く新しい解釈のワトソンとホームズと、うたい文句にあったけど私はこの映画を観て、いしいひさいち氏の4コマ漫画のホームズとワトソンを思い出しました。
個人的な感想にすぎませんが、あのマンガの解釈に一番近いなあと。
面白かったなあ、いしい作品のホームズとワトソンは。原作を読んでいると、やっぱり変な人だもん、ホームズは、と納得します。
いしいひさいち氏のミステリをネタにした漫画はホームズとそれ以外のものも、個人的な好みも相まって大好きなんです。(この記事の画像のネタは、いしいひさいち氏の漫画のネタです。違和感ないな〜)

ズバリ誰かにこの映画は面白いかどうかと聞かれたら、私が持っていた変な期待とかのフィルターを外せばテンポよく進んで楽しめるかなと思えます。
ただ、私のような観客の余計な期待が邪魔だというだけの事なのかもしれません。

監督の以前の、それも調子の良い頃の初期の作品「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」とか「スナッチ」だと、見終わった後も作品中に出てきた音楽が頭の中で回って、あれだけダメ男を大量に観たのにウキウキウォッチング、楽し〜いと感じて後を引くんですが、今回ハンス・ジンマーの音楽は回らなかったですねえ。
あっさりしたend感がありました。何か続編がありそうな感じでしたよ。

何だかガイ・リッチーは持ち味みたいなもんがドンドン普通っぽくなっていく気がします。
でも2年前でしたか、ナイキのサッカーのCMを監督しましたが、アレはまさにガイ・リッチーのテイストでしたけど。映像がもう恰好良くて!
「悪役」で出てくる、まだインテルにいる頃のイブラヒモビッチとあの頭突き(され)王マテラッツィの怖さは尋常ではなく、監督の映画に出てくるダメダメ男の悪党に見えましたもん。楽しかったなあ。
あれを観た時はウキウキと楽しくてもう、ガイ・リッチーの面目躍如。悪〜い奴等を面白可笑しく恰好よく描いて、これで復活するぞ〜とか思ったのですけれどね。
やはりホームズは相当な変人だけど、ガイ・リッチーの大好物の、悪党でもダメ男さんでもない、という事なのでしょうか。

|過去ログ| 201003 04 08 
201102 03 11 
201203 08 
201304 08 

一覧 / 検索